
あんまり日本史とか得意じゃなくて、日本神話も得意じゃなくて、どちらかと言うとケルト神話やギリシャ神話のほうが、スクエニ系のRPGを小さい頃からしてるからか馴染み深い。
でも、天穂のサクナヒメをプレイして、日本昔ばなしのような世界を走り回って、むちゃくちゃ心が温まった。
どうしてなんだろう。ノスタルジックでもない、センチメンタルでもない、ほんわか温かい気持ちになった。
しばらく考えて、おそらく現代に最も必要な「タイム感」と「クローズド感」がそこにあったからなんだろうなと結論付けた。
昔話の神話なのにこれからの未来に役立つゲーム

経済で言うと、現代の日本はどんどん国力が減ってくフェーズに入っているにも関わらず、旧態依然で非効率と非合理の極みを続けていて、それゆえに慌ただしさと忙しなさのギスギス感は増すばかり。
日本は睡眠時間は最も短い国で、1.2倍以上の睡眠時間のアメリカと比べて、ITの生産性は半分くらい。ルームランナーかエアロバイクでその場でしゃかりき汗流して、一切進まずに過労死する意味不明なムーブを継続してる。

当然、家族や友達より、うわべだけの人間関係と過ごす時間比率のほうが圧倒的に高くて、やりたくもないことをやらなければならない風潮が薄まる気配はない。
そんな時代に、天穂のサクナヒメは、大切なことを教えてくれた気がする。

ゆっくり縁側で休憩して、身近な人とじっくりお話したり。

同じ釜の飯を食いながら、

やるべきことは集中して協力して、適材適所でみんなが活躍して、それぞれの能力を高めていく───このタイム感とクローズド感が、本当に大切なことだなと。
人間は2日間、寝不足が続いただけで酩酊状態の認知機能になる。100%ポテンシャルを発揮できずに仕事をするのは、職種によっては命の危険があるし、無責任極まりないのに、いまだに苦労は美化され正当化されがち。

本当に生産性を高めて、社会に貢献して、作業効率を上げて早く仕事を終わらせるなら、睡眠をしっかり取って、自分を適切に愛して、仕事の質を上げて時間を短縮するのが最適解。
それに、劣悪な環境だとポテンシャルは40%程度にまで下がるから、怒号や罵声が飛び交ってたり、成果の横取りや責任のなすりつけ合いなんかが横行してる会社だと、サステナビリティが皆無。
先進国としてやってくなら方法や手段を根底から変えるしかないけど、それもしないなら、もういかに幸せのハードルを下げて、まったり身近な人と手を取り合って生きていくかという、哲学と知恵を磨く方向にシフトするしか安穏はない。
そういう意味でも、天穂のサクナヒメのタイム感とクローズド感は、これからの日本での生き方の教科書のようだった。
昔話の神話なはずなのに、懐かしいとか日本人の血を感じるとかよりも先に、未来を照らしてるように思えた。
日常の喧騒に疲れてる人に、ぜひプレイすることをおすすめしたい。
───と全体の感想はこれくらいにして、以降は、ゲーム内のことについて触れてくからネタバレ注意。
一部の敵が異様に強い
だいたいの敵はパターンがあって、覚えればカンタンに倒せるけど、一部の敵は異様に強く感じた。
鹿
とにかく鹿がキチガイムーブ。全然落ち着かないし、サクナが前向きか後ろ向きかが条件なわけでもなさそう。
あっち行ったりこっち来たり、ひたすら後ろ蹴りリピートしたり、なんかご乱心で病気なんじゃないかと思う動きが怖かった。
爆弾うさぎ
爆弾の威力がおかしいて。他の敵からのダメージは命ゲージ1cm減るかどうかなのに、爆弾だとゲージ半分持ってかれるて。どないなってんの。バグかとおもた。
操作性にたまに難あり
たまに羽衣で岩に飛び移ったりした時、凹凸にハマってサクナがプルプル痙攣することがあって、その間に敵から襲われることがしばしば。
そういう仕様なら意地悪だし、バグなら直してほしいと思った。
一部のアイテム収集が辛すぎる
大猪の牙・藍の鱗、油粕の収集が辛すぎた。神鳴の襷は、まぁ、レア素材の位置づけだから仕方ないと思うけど、いくらドロップ率や収集率を上げても、そもそもの出現頻度や出現数そのものが少ないから、辛かった。
仲間の採集強制帰還がめんどくさい
仲間を採集に出させても、家でイベントが起こると強制的に帰還していて、時間は経過してないから普通にまたすぐ同じところに採集させにいく操作をすることになって、とても煩わしかった。
いや、わかる、帰還しないと家にいないから辻褄を合わせてるんだろうけど、そこはリアリティを求めなくていいんじゃないかと思った。
環境音のパン振りが圧倒的に気持ちいい
天穂のサクナヒメのゲームで特筆すべきはBGMと効果音のよさだと思う。
ゲームする時はたいてい完全独立Bluetoothイヤホンをつけてるけど、環境音のパンが振ってあると感動する。
※パン=定位
カエル、カラス、鳩、きじ?などの鳴き声や、水の流れなど、サクナの向きが変わってカメラが回転すると、ちゃんと音の発信源も移動してて、これがすごく臨場感を高めてる。
たいていは、動物の鳴き声や環境音は一定の定位で聴こえてくるもんなんだけど、天穂のサクナヒメはサラウンドになっててこだわりを感じた。
いろんな意味で贅沢なゲーム
制作陣のこだわりがめちゃくちゃ詰まってて、日本人だからこそ感じる侘び寂びもあれば、現代への風刺にもなってて、米作りにも詳しくなれて、純粋なキャラに癒やされて───すばらしいゲームだと思う。